【不動産売却】家の「健康診断」ホームインスペクションは売却前にやるべき？

公開日：2025年10月25日カテゴリー：コラム

「長年住んだ我が家、いざ売却するとなったら、建物の状態のことで買主と揉めることにならないだろうか…」「古い家だから、雨漏りやシロアリがいないか正直不安…」

千葉県房総エリアで不動産売却をお考えの売主様から、このようなお声をいただくことが増えてきました。

特に中古戸建ての売却では、買主様が建物のコンディションに不安を感じ、購入に踏み切れないケースも少なくありません。

そのような売主様・買主様双方の不安を解消し、安心・安全な取引を実現する手段として注目されているのが「ホームインスペクション（住宅診断）」です。

この記事では、不動産売却のプロである私たち「東栄建設」が、ホームインスペクションを売却前に実施すべきかどうかの判断材料となるよう、そのメリット・デメリットから費用までをわかりやすくお伝えします。

ホームインスペクション（住宅診断）とは？

ホームインスペクションとは、建築士などの専門家（ホームインスペクター）が、第三者の客観的な立場で住宅を診断し、建物の劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所などを明らかにすることです。

人間でいえば、専門医による「健康診断」のようなものとイメージしてください。

具体的には、基礎のひび割れ、外壁の劣化、雨漏りの兆候、建物の傾きなどを、目視を中心に（場合によっては専門機材を用いて）調査します。この診断結果は、売主様と買主様が建物の現状を正しく理解するための重要な資料となります。

売主様が費用を負担してまで、なぜ売却前にインスペクションをおこなうのでしょうか。それには、売却活動を有利に進めるための大きなメリットがあるからです。

「特に問題ありません」と口頭で伝えるのと、「専門家による報告書で、構造上の主要な部分に問題がないことが確認されています」と具体的なデータを示すのとでは、買主様の安心感がまったく違います。

事前に建物の状態を開示することで、物件への信頼性が増し、買主様の購入意欲を高める効果が期待できます。

不動産売却では、引き渡し後に雨漏りなどの欠陥が見つかった場合、売主様が責任を問われる「契約不適合責任」というものがあります。

事前にインスペクションをおこない、建物の状態を買主様に説明した上で契約することで、このような「言った・言わない」のトラブルや、予期せぬ修繕費用の請求リスクを大幅に減らすことが可能です。

インスペクション済みの物件は、買主様にとって安心材料が多く、他の物件との差別化が図れます。

購入の意思決定が早まるだけでなく、価格交渉の際にも「報告書に記載のない不具合」を理由とした安易な値引き要求を防ぐことができます。結果として、販売期間の短縮や、より良い条件での売却につながる可能性が高まるでしょう。

もちろん、ホームインスペクションは、メリットばかりではありません。実施を検討する上で、以下の点も理解しておく必要があります。

インスペクションは有料です。売主様が依頼する場合、その費用は売主様の負担となります。不動産の売却価格を想定して、ホームインスペクションをおこなうかどうか検討する必要もあるでしょう。

診断の結果、これまで気づかなかった不具合や劣化が見つかることもあります。その場合、「修繕してから売るのか」「修繕費用分を価格から値引くのか」「欠陥があることを告知した上で売るのか」といった対応を検討する必要があります。

インスペクションは、物件を壊さずに欠陥や劣化の状態を確認する「非破壊検査」が基本です。そのため、隠れた全ての欠陥を発見できるわけではないことも理解しておきましょう。

ホームインスペクションの費用と、主な検査内容をお伝えします。

一般的な木造一戸建て（30坪程度）の場合、目視による基本調査の費用相場は5万円〜7万円程度です。

床下や屋根裏への進入調査、専門機材を使った詳細調査など、オプションを追加すると費用は上がります。

正確な費用を知るためには、複数の会社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。

ホームインスペクションの基本的な調査は、主に目視や打診、簡単な計測機器を用いておこなわれます。検査内容は国土交通省のガイドラインに沿っており、主に以下の項目をチェックします。

検査内容は、ひび割れ、剥がれ、腐食、雨漏りの形跡、シーリングの劣化がないかの確認など。

調査にかかる時間は、30坪程度の一戸建ての場合、基本調査で2～3時間程度が目安です。

また、基本調査では確認できない部分をより詳細に調べるために、オプション検査が用意されています。重大な欠陥や不具合は床下や屋根裏から見つかることも多いため、必要に応じて検討するとよいでしょう。